ワイナリー物語「小坂七滝醸造所手記」最新2025Update

    2025/08/21

    ワイナリーの日々の活動報告 「小坂七滝醸造所手記」

    小坂七滝醸造所手記【活動報告】new viersion2025 
    ■「2025年、小坂七滝ワイナリー仕込み始動 ― 畑と仕込みの現場が動き出す」
    2025年度の小坂町のぶどうは、夏の猛暑を耐え抜き、「小公子」「ワイングランド」「岩木山ぶどう」といった山ぶどう系品種が順調に生育しています。ただ、北東北を襲った大雨は果皮に負担をかけ、実割れのリスクを高めました。そのため、収穫のタイミングを慎重に見極めることが重要になります。
    収穫後、ぶどうが最初に向かうのは「除梗・破砕」の工程です。果梗を取り除き、果粒をやさしく破砕することで、雑味を防ぎ、果実本来の香りと味わいを引き出します。この大切な仕込みを支えるのが日々メンテナンスを欠かさない専用機械。収穫前に隅々まで清掃・点検を行い、ワインの仕上がりを左右する小さな要因も徹底して排除します。
    畑と仕込みの現場、その両輪がかみ合い、2025年ヴィンテージへの歩みが始まりました。

    ワイナリー手記 2025年8月21日 

    ■「2025年、小坂七滝ワイナリー仕込み始動 ― 畑と仕込みの現場が動き出す」
    2025年度の小坂町のぶどうは、夏の猛暑を耐え抜き、概ね順調に生育しています。梅雨時期には冷害や病気の心配もありましたが、幸い大きな被害はなく、「小公子」「ワイングランド」「岩木山ぶどう」といった山ぶどう系品種は、それぞれのペースで成熟へと向かっています。小公子は実止まりが安定し、早い房では紫色に色づき始めています。ワイングランド、岩木山ぶどうも収穫期を意識させる姿へと少しずつ変化してきました。
    ただし、自然との向き合いは容易ではありません。北東北地方を襲った大雨は、果皮に負担をかけ、実割れのリスクを高めます。果実が割れてしまうと果汁が流れ出し、品質の低下や病気の原因にもなりかねません。そのため、収穫のタイミングをこれまで以上に丁寧に見極め、できるだけ健全な状態で収穫し、仕込みへとつなげることが大切になります。今年の収穫は、天候を読みながらの慎重な判断が求められています。
    そしていよいよ、収穫されたぶどうが最初に向かうのが「除梗・破砕」の工程です。収穫した房から果梗(かこう:粒がつく軸の部分)を取り除き、果粒だけに分けます。専用の機械のドラムが回転することで、粒は下に落ち、軸は分別される仕組みです。その後、粒はやさしく破砕され、果汁をタンクに送る準備が整います。果梗を取り除くことで雑味を防ぎ、ぶどう本来のフレッシュな香りと味わいを引き出すことができます。
    こうした仕込みを支えているのが、日々メンテナンスを欠かさない仕込み機械です。収穫が始まる前に隅々まで清掃し、部品を点検し、故障や不具合がないかを確認します。機械を常に清潔に保つことは、発酵の妨げを防ぐだけでなく、ワインの仕上がりに直結します。小さな汚れや異物混入が、香りや味わいを大きく左右してしまうためです。仕込みの現場では、畑と同じくらいの緊張感と丁寧さが求められます。
    自然の恵みを受けたぶどうを、健全な状態でワインへとつなげるために。畑での栽培管理と同様に、仕込みの準備もまた大切な仕事です。2025年の小坂七滝ワイナリーでは、畑と蔵の両輪が動き出し、今年もまた新しいヴィンテージへの第一歩を踏み出しました。

    「除梗・破砕」機械整備①
    「除梗・破砕」機械整備②
    「除梗・破砕」機械整備③
    「除梗・破砕」機械整備④

    ワイナリー手記 2025年6月20日 

    ■ダムでワインを熟成――小坂七滝ワイナリー、初の試みがスタート
    2025年6月20日、小坂七滝ワイナリー(秋田県小坂町)は、砂子沢ダムの監査廊に自社製ワインを保管・熟成させる実証実験を開始しました。ダムという特殊な環境を活用した熟成は、県内では日本酒での事例があるものの、ワインでは初めての取り組みです。
    この日、砂子沢ダムでは「保管・熟成ワイン搬入式」が開催され、関係者やメディアが見守るなか、ワイナリーの従業員たちが段ボール箱に詰められたワインボトルをダム内部の監査廊へ次々と運び入れました。対象となったのは、2022~2024年に醸造されたニホンヤマブドウの赤ワイン・720mlボトル960本。熟成には半年から最長で3年間を予定し、今後は定期的なテイスティングを通じて熟成の経過を確認していきます。
    ワインの熟成に理想的とされる保管温度は12~18度。これまで同ワイナリーでは、小坂鉱山事務所内の倉庫(平均約17度)で管理してきましたが、今回使用する砂子沢ダムの監査廊は年間を通しておよそ10度と低温が安定しており、さらに光や振動の影響も受けにくい環境が整っています。ヤマブドウ由来のワインは、仕込み直後には酸味が強く角のある味わいが特徴ですが、ゆっくりとした低温熟成により酸がまろやかになり、深みのある風味へと変化することが期待されています。
    今回の取り組みは、秋田県が地域活性化を目的に2023年度から開始した酒類貯蔵実験の一環で、これまでにも横手市の大松川ダムや湯沢市の皆瀬ダムで日本酒の貯蔵が行われてきました。今回のワイン熟成は、地域の特産品の新たな魅力を引き出す挑戦としても注目されています。
    搬入式では、秋田県鹿角地域振興局の永須昭夫局長が「地域のものづくりと社会インフラが結びつき、新たな魅力創出につながることを期待する」と述べ、小坂まちづくり会社の森浩美社長も「ダム熟成による風味の変化を楽しみにしている。初出荷をどうぞお楽しみに」とあいさつしました。
    なお、販売開始の時期は現時点では未定となっており、今後の熟成の進行を見極めながら、最適なタイミングで出荷される予定です。

    「保管・熟成ワイン搬入式」①
    「保管・熟成ワイン搬入式」②
    「ダム内監査廊へ運び込み」①
    「ダム内監査廊へ運び込み」②

    ワイナリー手記 2025年5月16日 

    ■その一滴に、静かな情熱を。濾過の現場で生まれる、希少白「ペガサスブラン」の深い味わい。
    |希少な白ぶどう「ペガサスブラン」を丁寧に濾過。辛口仕上げの奥に、オレンジワインの余韻が広がります。

    タンクに耳を澄まし、澄んだ液体を一滴一滴、丹念に濾過していく。そんな職人の静かな情熱が宿るのが、山ぶどう系の希少な白品種「ペガサスブラン」から生まれた一本。年間の収穫量がごく限られているこの品種は、まさにワイナリーの宝。辛口の白として仕上げながらも、果皮をともに醸した“オレンジワイン”スタイルにより、穏やかなタンニンと複雑な香りが溶け合います。果実の瑞々しさに加え、ほんのりと感じる紅茶やハーブのニュアンスが余韻を彩り、グラスを傾けるたびに新しい表情を見せてくれます。白ワインの新たな魅力に出会いたい方にこそ、ぜひ体験していただきたい逸品です。

    「ペガサスブラン濾過」①
    「ペガサスブラン濾過」②

    ワイナリー手記 2025年4月9日 

    ワイン造りにおいて、澱(おり)の有効活用は非常に重要な工程のひとつです。写真では、ワインタンクから回収された澱に圧をかけ、凝縮されたエッセンスを取り出す作業が行われています。この工程は、搾汁後にタンク底に溜まる澱を廃棄するのではなく、最後の一滴まで葡萄の旨味を抽出するという、まさに「無駄にしない」精神に基づいたものです。

    澱にはまだ豊かな香味成分が多く含まれており、これを圧搾することで得られるエッセンスは、通常のワインと比べてコクや複雑さが際立ちます。このエッセンスをタンク内のワインと再度ブレンドすることで、ワイン全体の旨味が増し、より深みのある味わいに仕上がります。

    また、このような工程は品質向上だけでなく、持続可能なワイン造りにも貢献しています。限りある資源を最大限に活かすこの取り組みは、環境にも優しく、造り手の丁寧な姿勢が感じられます。

    職人の手で丁寧に進められるこの作業は、まさに手間ひまを惜しまないクラフトマンシップの現れ。こうした積み重ねが、ワインの風味や個性に大きな影響を与えているのです。

    さらに、このエッセンスはタンニンや旨味成分が豊富なため、長期熟成型のワインにも深い構造を与える力を持っています。わずかな量でもブレンドすることで、ワインに奥行きや余韻を与え、飲み手に忘れがたい印象を残します。こうした裏方の丁寧な仕事が、グラスの中に広がる豊かな世界を支えているのです。

    「澱」を取出し、重石で圧をかけます
    「澱」からの旨味成分は完全に取り出すことができました

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