2025/02/10
山ぶどうワインの魅力【山ぶどうの特徴を活かしたワイン】
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山ぶどうの特徴を活かしたワイン【山ぶどうワインの魅力】 小坂町の火山灰土壌と冷涼な気候が良質な「山ぶどう」を育みます、地域の財産である山ぶどうの「特徴」「栽培」「醸造」「山葡萄系品種アイテム」「マリアージュ紹介」「知名度アップの活動」をまとめました。
小坂七滝ワイナリーのワインの原料となる山ぶどう系品種は、ワイングランド・小公子・岩木山ぶどう・ヤマソービニオン・ニホンヤマブドウの赤ワイン系品種と非常に希少価値の高い山ぶどうワイン「白」の原料となるペガサスブランと合わせて山ぶどう系品種で6種を栽培しています。
山葡萄ワインはその高い酸味・濃厚な果実味・穏やかなタンニンによって、さまざまな料理と絶妙に調和します。ワインが料理の味を引き立て、料理がワインの個性を際立たせる「美味しい化学反応」を楽しみましょう!
又
日本ワインとしての「山ぶどうワイン」の知名度アップとブランド化に向けた活動にも力を入れており、2023年年7月、「第1回日本山ぶどうワインコンクール」山ぶどう系品種ワインに特化したコンクールとして開催され、世界的にも有名なワイン研究家が参加し、山ぶどうワインのブランディングセミナーなどが開催されたり、全国の醸造家同士の交流の場となりました。
山ぶどうの特徴【強み】
| 山ぶどうは古来より滋養強壮の貴重な栄養源として愛飲されてきました
山ぶどうは、古くは「古事記」にもその名前が記されている日本古来の在来種です。
山ぶどう(日本の山ぶどう)は当初は栽培目的のための品種ではなく、野山に自生する野生のぶどうでした。
日本がルーツと言われているもののほか、中央アジアより渡ってきたと思われるものなど、特に寒冷な地域、北海道から本州の山間部に多く自生しています。
山ぶどうはその栄養価の高い果実として、ツキノワグマやヒグマが自生している山ぶどうを食べて冬眠に入ると言われています。
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| 山ぶどうは栽培が不安定・・・収穫されたぶどう一粒から僅かな果汁しか採れません
山ぶどうは一般的なぶどう品種に比べて、種は大きいものの、粒が小さく一センチ程度と小ぶりなのが特徴です。
ですので、収穫されたぶどう一粒から僅かな果汁しか採れません。ぶどうは通常2年ほどで栽培開始から収穫となりますが、山ぶどうは実に3倍で、6年を要します。
しかも山ぶどうには雄雌があるため、自家受粉ができないことがあるため果実を実らせるにはとても苦労します。
そこで、山ぶどうの特徴を生かしつつ安定生産が可能で、日本の風土に合う上質なワイン専用種の開発を目指し、日本葡萄愛好会創始者の故・澤登晴雄氏(1916~2001年85歳没)によって「山ぶどう」交配品種が育成されました。
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| 山ぶどうは通常ぶどうに比べてポリフェノールが約8倍多く含まれています
ぶどう自体が元々ポリフェノールが多く含まれる果実ですが、山ぶどうの濃い赤紫色は、抗酸化物質ポリフェノールが通常のぶどうの約8倍含まれていると言われています。中でも強い抗酸化力でアンチエイジング効果を期待できるプロシアニジン量が多く、活性酸素の生成を抑え血液をサラサラにし、血圧をさげるとも言われています。
さらに通常のぶどうに比べ鉄分、カルシウム、カリウム、食物繊維は3~7倍、βカロチン、ビタミンEは10倍、疲労回復を助けるといわれるリンゴ酸等の有機酸を豊富に含みます。人間の健康に欠かせない栄養素が豊富に含まれています
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山ぶどう栽培
| フロー(FLOW:流れ)
剪定(11月~12月)
雪の多い小坂町ですので、棚に雪が積もりにくい状況にするため、11月から剪定が始まります。1本1本前年の樹勢を確認しながら、来年の芽の数を決め慎重に剪定を行います。
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展葉(5月上旬)
サクラが見頃を迎える季節になりますと、ぶどうの芽が膨らみ今年の葉が開いてきます。まるで花が咲いたように農園全体が明るく鮮やかになり、秋の実りが待ち遠しい季節が訪れます。
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開花(6月下旬~7月上旬)
開花の季節。気候が穏やかで太陽をいっぱい浴び、結実が良くなるように祈ります。1年の中で一番大切な時期。雨が多くなったり、低温がこの時期の大敵です。
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果実肥大期(7月~8月)
開花期の気候が温暖であれば生育が順調に進み、果実が地下から養分をたくさん吸い上げて、果実が肥大していきます。
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果実着色期(8月中旬~9月)
夏の十分な日照と地下からの養分で肥大した果実が、色付きはじめる季節。適正な葉数の確保と枝の伸びを抑えることで、着色促進と糖度上昇を促すことが重要になります。
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収穫期(9月上旬~10月下旬)
果実の収穫が一斉にはじまる季節。「小公子」九月上中旬収穫、「ワイングランド」十月中下旬収穫、「岩木山葡萄(いわきやまぶどう)」十月下旬収穫。
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落葉期(11月~12月)
果実の収穫が終わり、樹々も農園もやっと一息つく季節。樹々の枝の中の養分(樹液)が越冬のため地下の根に降りると落葉が始まり、ぶどうの休眠期に入ります。
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山ぶどうワイン(赤ワイン)の醸造
| フロー(FLOW:流れ)
収穫
十和田湖樹海農園では、一房一房、人の手で丁寧に摘みとりされています、人がぶどうの状態を見ながら収穫するため、腐敗果や未成熟果の混入を未然に防ぎ、高品質なワイン用のぶどうが収穫されています。ワイナリーから農園までは約2キロの距離と近いため、収穫されたぶどうは新鮮な状態でワイナリーに運ばれます。
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除梗・破砕:じょこう・はさい
梗(こう)は、ぶどうの粒がついている小さな枝のことですが、ぶどうは梗に果粒がついて房になっていますが、その梗と果粒を分離する作業です。除梗破砕機に、ぶどうを通して除梗しながら、果汁が流出しやすいように、ぶどうの果皮が裂ける程度に軽く潰します。これによって、梗の持つ不快な香りや味がワインにつくことと、ワインが薄くなってしまうことを防ぎます。またタンク内のスペースを、有効に利用することもできます。
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発酵
果皮や種子を一緒にして酵母を加え主発酵させます。ぶどうがワインに変身する過程そのもので、醸造、ひいてはワイン製造全体の中で、もっとも中心的な過程です。発酵の期間は通常1~3週間くらいで、酵母がぶどうの糖分をアルコールと炭酸ガスに変換します。このときアルコール以外にもいくつかの香気成分が生成され、ワインの質を大きく左右します。
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圧搾:あっさく・搾汁:さくじゅう
圧力をかけて搾り、果汁やワインと固形分(種や果皮)を分離する作業です。ぶどうから自然に流れ出たワイン(フリーランジュース)を分けた後に、軽くぶどうをプレスしてワインを絞ります。繊細な味わいのフリーランジュースと、色濃いが雑味が多いプレスワインは、仕上がるワインのコンセプトによって使い分けます。
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澱引き移動
酵母や酒石酸塩が沈澱して滓となり下に沈殿します。上澄みを別の容器に移し、澱と分離させます。上澄みだけを別のタンクに移して後発酵させます。最後に静置し、ろ過をして清澄化を行います。(無濾過ワインについては上澄みをそのまま瓶詰めします。)
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瓶詰め熟成
「瓶詰め」した若いワインを、一定期間ワイナリーのコンセプトに合致したワインに「熟成」(変化)させていきます。ワイン自体が時間と共に変化しますので、最高のタイミングでリリース出来るようにその様子を慎重に見守ります。
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小坂七滝ワイナリー「山ぶどう系品種ワイン」
| 赤ワインとしてワイナリーでは、ワイングランド・小公子・岩木山ぶどう・ヤマソービニオン・ニホンヤマブドウ・ペガサスブランの6品種のアイテムを展開中
「野性味 × 酸味 × 果実味」-山葡萄ワインが「食」を引き立てる理由
| 山葡萄ワインのマリアージュの魅力とは? 山葡萄ワインはその高い酸味・濃厚な果実味・穏やかなタンニンによって、さまざまな料理と絶妙に調和します
最高のマリアージュが完成する理由
万能な特性を持つ、まさに食事と寄り添うためのワイン
ワインと料理の組み合わせには、「互いの個性を引き立て合うペアリング」と「味わいのコントラストを楽しむペアリング」があります。山葡萄ワインは、どちらのペアリングにも適した万能な特性を持つ、まさに食事と寄り添うためのワインです。
その理由は、「高い酸味」「濃厚な果実味」「穏やかなタンニン」という三つの要素がバランスよく調和しているから。この三つの要素がそれぞれどのように作用し、料理との組み合わせにどんな効果をもたらすのかを詳しく解説していきます。
山葡萄ワインは一口飲むと、まずフレッシュな酸味が舌を刺激し、心地よい爽やかさを感じさせます。次に、ベリーやカシスを思わせる濃厚な果実味が口の中に広がり、料理の旨味と絶妙に絡み合います。そして、渋みを抑えた穏やかなタンニンが、ワインの飲み心地を柔らかくし、どんな料理とも自然に馴染むのです。
このように、山葡萄ワインは「ワインの強さが料理を押しつぶす」のではなく、「料理の味を活かしながら寄り添う」バランスを持っています。そのため、和食をはじめとした繊細な料理ともマッチし、肉料理やチーズ、スイーツに至るまで幅広いペアリングが可能なのです。
「日本ワイン」としての「山ぶどうワイン」の地位向上に向けて
| 2023年7月には「第1回日本山ぶどうワインコンクール」が開催されました!
CONCEPT:コンセプト
世界発、日本山ぶどうに「特化」したコンクールの開催
「日本ワイン」は近年注目されておりますが、ヨ-ロッパ系品種で展開するワイナリーが多く、各種ワインコンク-ルも中心はヨーロッパ系品種で醸造したワインです。
日本のオリジナルワイン専用種である「山ぶどう」及び「山ぶどう系品種」ワインに特化した「ワインコンクール」を開催します。
日本で広く愛飲されている山ぶどう系品種のワインを名実ともに国内に浸透させ、「日本ワイン」の品質の高さを広くアピールすることが目的です。
PURPOSE:パーパス
「山ぶどう」ワインの知名度向上とブランド化の実現に向けて
現在「日本ワイン」の原料となる黒ぶどう品種の中でも「山ぶどう」及び「山ぶどう系品種」の栽培面積が急拡大。その生産量の約70%が北東北となっています。この北東北の地で、当協会は設立されました。
「山ぶどう」及び「山ぶどう系品種」ワインの認知度向上と「日本ワイン」の中でも特別なワインとしてブランド化を進めるとともに全国から参加するワイナリー同士の情報交換や技術向上にも繋げたいと考えております。
OVERVIEW:オーバービュー
記念すべき「第1回日本山ぶどうワインコンクール」は小坂町で開催されました。
世界発の日本山ぶどうに「特化」したコンクールということで、日本ワイン界を牽引する6名の審査員の方々を招聘し、全国:北海道~九州まで41のワイナリーの103銘柄のワインがエントリーしました。
7月14~15日の二日間に渡り徹底的に審査を重ね、プレミアムゴールド1アイテム、ゴールド4アイテムが決定致しました。
「第1回日本山ぶどうワインコンクール」日程
1.審査会(令和5年7月14日(金)~15日(土))
会場:秋田県小坂町小坂鉱山字古館9-3「ホテル小坂ゴールドパレス」
2.日本山ぶどうワインフォーラム(令和5年7月15日(土))
1)開会式「会場:明治の芝居小屋 康楽館」
2)ワイン講演
講師:日本のワインを愛する会会長 辰 已 琢 郎
3)基調講演「会場:天使館」
講師:第1回日本山ぶどうワインコンクール審査総括 大 橋 健 一MW
4)ワークショップ(①「会場:天使館」②「会場:小坂鉱山事務所交流ホール」)
①座長:日本ワインブドウ栽培協会代表理事 鹿 取 みゆき
②座長:食とワインの評論家 田 中 克 幸
3.審査発表(令和5年7月15日(土))
会場:秋田県小坂町十和田湖西湖畔「十和田ホテル」
|同時開催「北東北山ぶどうワインツアー」(令和5年7月14日(金)~16日(日))
内容:
1)盛岡駅集合
2)岩手くずまきワイン見学
3)日本山ぶどうワインフォーラム
4)日本山ぶどうワインディナー・審査発表
5)小坂七滝ワイナリー見学
6)盛岡駅解散
ワインコンクールということで厳選なワイン選考は元より、審査員の方々が日々感じる国内外のぶどうやワインの状況などを講演やワークショップという形で展開頂き、訪れたワイン関係者らと情報を共有することが出来たのも第1回日本山ぶどうワインコンクールの成果であったような気がしています。
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